アート・グルメ・サステナビリティ──現地取材で読み解く、今訪れたい3つの注目パビリオン
大阪・関西万博:2025年4月13日から10月13日までの半年間、大阪・夢洲にて開催され、”いのち輝く未来社会のデザイン”をテーマに史上最多の160以上の国と地域、企業や国際機関が参加するかつてない規模の国際イベント。最先端テクノロジーの展示に加え、文化・芸術・食などを通して各国の魅力を存分に堪能できる多彩なパビリオンが注目を集めている。さらに、会場全体を舞台に多様なエンターテインメント繰り広げられており、連日話題をよんでいる。
BroadwayWorldでは、イベントや各パビリオンの個性や魅力をシリーズで紹介していく。本特集の第二弾では、イタリア、ドイツ、ルクセンブルクの3カ国にフォーカス。実際に各パビリオンを訪れ、副館長や代表スタッフといった関係者から直接話を聞き、案内を受けたからこそわかった“リアルな見どころ”を厳選してお届けする。現地の文化や美食を体感できる、各国自慢の空間をどうぞお楽しみに。
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サステナブルな未来を、「楽しく」「親しみやすく」体験できるのがドイツ館。パビリオンのテーマは「循環(サーキュラリティ)」。その名のとおり、館内の建築素材にはリサイクルされたペットボトルや、キノコ由来の素材などが使われており、その意外性に驚かされる。まさに「わ!ドイツ(WA! Germany)」のキャッチコピーにふさわしい、発見に満ちた空間だ。
この館で来場者の案内役をつとめるのが、ドイツ館の公式キャラクター「サーキュラー」。丸いフォルムと可愛いらしい動きが人気を集めており、タイミングが良ければ入口付近で実物に出会えることもある。限定グッズも販売されているが、その人気は絶大。在庫状況によっては“出会えたらラッキー”な希少アイテムだ。
館内では、片手にサーキュラーを持って見学していく。各展示ポイントで、サーキュラーが日本語・英語・ドイツ語の3言語から選んだ音声でナビゲートしてくれるオーディオガイド形式になっており、混雑時に展示が見づらい場合でも、耳からの情報で十分に理解が深まる仕組みとなっている。しかも、聞きたい情報の量を自分で選べる点も特徴。興味の赴くままに音声を聞き進めていくと、2時間では足りないほどの知識と驚きが詰まっている。
展示内容も、来場者参加型の工夫が随所に光る。自分自身が選んだアクションに応じて未来の映像が映し出されるスクリーンや、オリジナルのサーキュラーをデザインできるコーナー、ゲーム感覚で循環の仕組みを学べる体験など、子どもから大人まで夢中になれるインタラクティブなコンテンツが満載である。
“学び”と“遊び”が見事に融合したドイツ館。未来社会を考えるきっかけを、キャラクターとともに楽しみながら掴めるユニークなパビリオンだ。
「ヨーロッパの小さな大国」ルクセンブルク。その魅力を凝縮して体験できるのが、このルクセンブルク館だ。ヨーロッパの中心に位置し、周辺国からの移民や多様なルーツを持つ人々と共生する文化が特徴的。パビリオン全体からも、その多国籍で寛容な価値観がにじみ出ている。
列に並ぶ待ち時間すら学びと楽しさに変えてしまうのが、この館ならではの工夫。待機列の壁面などに配置されたQRコードをスマートフォンで読み込むと、AR技術によってルクセンブルクのランドマークが3Dで浮かび上がり、あらゆる角度から眺めることができる。専用アプリを通じてさらなる情報にもアクセスでき、来場者の好奇心を自然と刺激してくれる。
館内では、床・壁・天井に投影される映像に包まれながら、ルクセンブルクで過ごす“ある一日”を没入体験できる。街を駆け抜ける映像演出は、まるで空を飛んでいるような爽快感があり、別世界に引き込まれる。
また、伝統文化を体感できる体験型展示も用意されている。「ケーレブン」と呼ばれる9ピンのボウリングは、実際に投球して楽しめる人気コーナーで、ルクセンブルクの遊び文化に気軽に触れることができる。
フードコートも充実しており、軽やかな口当たりのビールや伝統的な料理のほか、香ばしく焼き上げられたバームクーヘンが来場者の舌を楽しませてくれる。多様性に富んだ文化とともに、味覚でもルクセンブルクの魅力を堪能できる。
小さな国だからこそ凝縮された多彩な魅力──その一端を、ぜひこのパビリオンで体感してほしい。
五感を満たす芸術と美食の共演。それがイタリア館の醍醐味である。入館してすぐに圧倒されるのは、アジア初公開となる大理石彫刻『ファルネーゼ・アトラス』だ。紀元150年に制作されたこの彫刻は、直径2メートル・重さ2トンを誇り、ギリシャ神話のアトラスが天球を支える姿を壮麗に表現している。静謐な空間の中に佇むその存在感は、まさに“時空を超えた芸術”に出会う体験となる。
さらに、レオナルド・ダ・ヴィンチによる貴重な素描『アトランティック・コード』や、16世紀の名画『キリストの埋葬』、ミケランジェロ・ブオナローティの彫刻『復活したキリスト』も展示。いずれも歴史的・美術的価値が高く、イタリアが本気で“本物”を持ち込んでいることを物語る。展示を巡るだけで、美術館を巡る旅に匹敵する濃密な時間が過ごせるだろう。
芸術の感動を胸に歩みを進めれば、次に待ち受けるのはグルメの至福。イタリア館内のレストラン「Eataly(イータリー)」では、最高品質の食材を使用したイタリアンの真髄が味わえる。まずは、トマトの爽やかな酸味と甘味が際立つマルゲリータ。香ばしく焼き上げられた生地と相まって、シンプルながらも奥深い味わいだ。ブッラータは、ナイフを入れた瞬間にとろけ出すフレッシュチーズの食感がたまらない。チーズ本来のコクに、ほのかな甘味が加わる贅沢な一皿である。飲み物は、イタリア産のブラッドオレンジジュースをぜひ。濃厚でいて後味はさっぱり、これからの暑い時期にぴったりの一杯だ。そして締めくくりには、優雅な甘さのパンナコッタを。ミルキーで上品な味わいが、口の中にゆっくりと余韻を残してくれる。
イタリア館はそのグルメも含め、万博グルメの中でも突出した完成度を誇る。展示、体験、味覚のすべてにおいて「イタリアらしさ」に満ちており、その一貫した美意識は来場者を魅了してやまない。
6月18日からは物販エリアも本格オープン。伝統工芸によるカメオランプ(約50万円)から、家庭でも気軽に楽しめるパスタやバルサミコ酢まで、幅広いラインナップが揃う。芸術鑑賞、グルメ、ショッピングまでを網羅した、まさに“イタリア体験”が詰まったパビリオンだ。
イタリア、ドイツ、ルクセンブルク──。今回紹介した3つのパビリオンはいずれも、国の持つ文化的背景や価値観を鮮やかに映し出しながら、万博ならではの表現で来場者を迎えていた。
サステナブルな未来社会を遊びながら考えるドイツ館、多国籍で寛容な価値観を全身で体感できるルクセンブルク館、そして芸術と食の真髄にふれるイタリア館。それぞれの空間で交わした対話や体験は、まさに“世界を旅するように楽しめる万博”を象徴していた。
万博会場には、まだまだ多くの国や地域が参加しており、これから出会う感動や発見が無数に広がっている。BroadwayWorldでは引き続き、現地での取材を通じてパビリオンの“生の魅力”を掘り下げていく予定だ。
次はどんな国と出会えるのか──。世界を知り、未来を考える旅はまだ始まったばかりだ。今後の特集にも、ぜひご期待いただきたい。
Photo Credit :[(c) German Expo Pavilion / Hotaka Matsumura ©GIE Luxembourg @Expo 2025 Osaka Vincent Hecht Ayaka Ozaki]
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