公演レポート:シルク・ドゥ・ソレイユ「アレグリア-新たなる光-」

人間とは思えない程の驚愕の技の連続。世界のシルク・ドゥ・ソレイユはやはり凄かった。

By: Sep. 25, 2023
公演レポート:シルク・ドゥ・ソレイユ「アレグリア-新たなる光-」

世界最高峰のサーカス・エンターテインメント集団 シルク・ドゥ・ソレイユ。シルク史上最も愛された伝説のショー「アレグリア-新たなる光-」が更なる進化を遂げて蘇る。フライングトラピス(空中ブランコ)、ファイヤーナイフ・ダンス、エアリアル、真骨頂のアクロバットなどで、"アレグリア(=歓喜)"らしくパンデミック後の海外公演再開の一歩を踏み出した。

オープニング、力強い歌声と共にどこからともなく宙に飛び出すエアリアルアーティスト。不穏な空気を表す照明と生演奏の音楽で、これから何を魅せてくれるんだろうと期待が高まる。

公演レポート:シルク・ドゥ・ソレイユ「アレグリア-新たなる光-」
アクロ・ポール

1幕は「アクロ・ポール」で幕が開けた。棒高跳びのポールの両端をそれぞれの肩に乗せるポーターと呼ばれる大男2名。その撓(しな)りを棒型トランポリンの様に利用し跳ねたり、バク宙を交えポールからポーター、ポーターからポールへ自由自在に飛び回るフライヤー達。ポールの上にポーターが立ち、さらにその肩にもう一人が立ち、そして、三人目は二人目の頭上で片手倒立してみせた。その後もバク宙でポーターの肩の上立つアーティストの上に飛び乗り、その勢いは止まらない。

公演レポート:シルク・ドゥ・ソレイユ「アレグリア-新たなる光-」
ファイヤナイフ・ダンス

ドラムの重低音が鳴り響く中、松明を手に登場したファイヤーナイフ・ダンス・アーティスト。松明の炎を素手で掴み取り、もう片方の先端へと着火させた。同様にもう一本持ち出し、それぞれ両端が燃えた松明を余裕の笑みでバトンの様に体の周りで投げ回す。地面に触れた炎はステージへと広がった。ブリッジの様に持ち上げた腰の下に松明を持っていき、自らの体を数秒炙って見せた。彼のプロ根性が炎の熱さと共に客席まで伝わってくる。

クラウンの演目ではステージに積もる雪の紙吹雪が、目を開けていられない程の強風に煽られオーディエンスを包んだ。シンプルなのに圧倒され印象に残る演出となった。

男女のエアリアルアーティスト二人の登場で始まった「エアリアル・ストラップ」。互いの支えだけを頼りに共に宙を舞う中、空中で両者の体を切り離し腕を持ち変える等、緊迫の連続の度に客席が響めいた。2幕のオープニングとして完璧な掴みだ。

公演レポート:シルク・ドゥ・ソレイユ「アレグリア-新たなる光-」
パワー・トラック

続けて「パワー・トラック」が始まる。ステージが十字のトランポリンへと転換し、轟くドラムとバイオリン。1m幅ほどの細いトランポリン上を次々に交差しながら飛んで見せる14名のアーティスト達。四方向から同時に中心めがけて飛び出し、4名が空中で4段に交差する姿は圧巻。冒頭より腰の曲がった老人に見えていたミスター・フルールまでも華麗なアクロバットを披露し、会場は驚きと拍手で騒然とした。

シンガーの生歌の中、張り巡らされていくネット。「フライング・トラピス」の始まりを告げる物々しい空気が会場を張り詰める。雄叫びとも言える掛け声で伝わる気合が、より緊張感を高めていた。高さ10mに左右2つずつセットされたブランコ。下手(しもて)で揺られながら待つそれぞれのキャッチャーを目掛け順に上手(かみて)から飛び移り、また上手のブランコに飛び乗って帰ってくる8名のフライヤー。ただ飛び移るだけではなく、回転技、開脚ジャンプ等、次から次へと離れ技披露しを観客は拍手喝采。フィナーレに相応しいパフォーマンスとなった。

公演レポート:シルク・ドゥ・ソレイユ「アレグリア-新たなる光-」

人間とは思えない程の驚愕の技の連続。魅惑の生歌と生演奏は、その為だけにでもまた来たいと思える。世界のシルク・ドゥ・ソレイユはやはり凄かった。この世界最高峰のエンターテイメントが*日本で観られる内に体験することを是非お勧めする。

*「ダイハツ アレグリア-新たなる光-」は2023年10月15日まで日本(大阪森ノ宮ビッグトップ)で開催予定。

Photo Credit: [Cirque du Soleil 2021 / Costumes: Dominique Lemieux]




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