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公演レポート:音楽劇「謎解きはディナーのあとで」

櫻井翔の“毒舌執事”を継ぐのは上田竜也 ー 大ヒットミステリーが音楽劇として進化

By: Sep. 30, 2025
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音楽劇「謎解きはディナーのあとで」:シリーズ累計500万部、本屋大賞を受賞した東川篤哉による大ヒット小説「謎解きはディナーのあとで」。毒舌執事とお嬢様刑事が繰り広げる軽快なやり取りと本格的な謎解きが話題となり、2011年にドラマ化した国民的人気ミステリー。今回はオリジナルストーリーで音楽劇として上演されている。


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玉井詩織演じる宝生麗子(右)

刑事・宝生麗子(玉井詩織)は世界的に有名な財閥令嬢。お嬢様であることを隠し、御曹司である風祭警部(橋本良亮)の部下として日々事件に奮闘している。麗子の超有能執事・影山(上田竜也)は、事件に遭遇するたび「お嬢様の目は節穴でございますか?」などと毒舌を吐きながら、謎を解き明かしてしまう。

そんなある日、影山はヨーロッパへ急行すべく麗子を連れ出す。さもないと親同士が決めた結婚が成立してしまうというのだ。二人が向かったヨーロッパの小国では元首が急死。麗子は王位継承者争いに巻き込まれる。公国には風祭警部もやって来てしまい、大混乱。


影山と麗子が姿を現して間もなく、名セリフ「お嬢様の目は、節穴でございますか?」「クビよ!クビ、クビ!!」が立て続けに放たれ、客席は早くも作品の世界へ誘われた。影山の凛とした所作は一挙一動まで美しく、麗子との歯切れのよい掛け合いはテンポ抜群。観客の視線を釘づけにしながら舞台を一気に走らせた。

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橋本良亮演じる風祭(中央)

風祭警部は登場するだけで独特の間合いと調子が場内を和ませる存在。麗子の許嫁であるシュヴァルツクスト公国の公子クラウスは「結婚恐怖症」という設定を全身で表現し、駄々をこねる姿がユーモラスに描かれていた。

やがて公国にやって来た風祭は、橋本の切れ味鋭いダンスと「ゲッダン」のパフォーマンスで観客を一気に沸かせる。麗子を追いかけるステップも小気味よく、会場を自然と盛り上げた。さらに、公女マリアンヌを演じた凪七瑠海の伸びやかな歌声が響き渡ると、場内は華やいだ空気に包まれた。

見どころのひとつであるダンス対決では、橋本が軽やかなステップに続き、煌びやかなピチピチのタイツ姿を披露し、会場は大きな盛り上がりを見せた。玉井も軽快なダンスで応じ、アイドルらしい存在感を示した。

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上田竜也演じる影山

影山の推理シーンでは、野口かおるのコミカルな芝居に上田が思わず表情を崩し、その自然体な反応に客席の空気が緩む。さらに渾身の変顔を披露し、普段のクールな印象との鮮やかなギャップを見せた。

クライマックスは怒涛のカーチェイス。舞台いっぱいに繰り広げられるドタバタの中、影山が突然歌い出し、「ヘイ、大阪!二階席!」と観客を煽ると、会場の熱気は一気に最高潮へ。ラストでは玉井がアイドルとしての真価を発揮し、渾身の歌唱と表現力で舞台を締めくくる。その後の小気味よい“オチ”までもが見事で、最後の最後まで観客を楽しませた。

風祭を演じた橋本は、軽妙なユーモアと確かなパフォーマンスで役に完全にハマり、上田は品格ある所作と緻密な長台詞を鮮やかにこなしながら、意外性のある魅力を放っていた。玉井は華やかさに加え、歌唱力とダンス力を存分に発揮し、アイドルとしての魅力を舞台上で開花させた。観客は終始笑いと拍手に包まれ、舞台は最後までエンターテインメントの熱を失うことなく走り抜けた。さらに、本作は子供でも理解しやすい明快な物語と、随所に散りばめられたユーモア溢れる脚本が際立ち、世代を超えて楽しめる作品として仕上がっていた。

Photo Credit :[阿部 章仁]


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